2026.1.13 メディア掲載
ドローン測量をもっと身近&簡単に、鹿島建設も採用したアプローチとは【BUILT2025年9月掲載】
DX , GIS , オルソ画像 , くみき , スマート林業 , ドローン , ドローン測量 , 建設DX , 点群データ , 防災2025年9月より建築・建設業界における最新テクノロジーの活用に特化したメディア「BUILT」に掲載されていた記事を公開いたしました。
地上測量よりも広い範囲を、短時間かつ低コストでカバーできるとして注目される「ドローン測量」。だが従来のドローン測量は専門知識が必要で、導入のハードルが高かった。この常識を覆す、今注目のアプローチとは?
“ドローン測量の民主化”を目指すクラウドサービス
くみきはドローンで撮影した画像からオルソ画像や点群データ、DSM(表層の高さ)などの地形データを自動生成し、幅広い用途での活用を支援するクラウドサービスだ。最大の特徴が「直感的な操作性」にあり、測量の知識を持たなくとも簡単に扱える点がユーザーに高く評価されている。

スカイマティクス 代表取締役社長 渡邉善太郎氏
代表取締役社長 渡邉善太郎氏は「総合商社勤務時代に衛星画像ビジネスに携わり、安価に3D地形データを取得できる手段としてドローン測量に注目した」と振り返る。しかし、そこで大きな壁に直面する。
「当時は測量アプリのパラメータ設定に専門知識が必須で、また、ほとんどが海外製ソフトウェアだった。ニーズの違いにより、国内の利用環境に合わない機能が数多く搭載される一方で、公共測量基準に準拠した精度管理などの現場で必要とされる機能が不足していた。地形データの生成には膨大な計算が伴い、高額な高性能PCを用いた長時間の処理が避けられなかった」(渡邉氏)。
この経験を通じ、渡邉氏は「現状のままでは近い将来、ドローンが身近な存在となっても測量分野での普及は極めて困難になる」と判断した。そこで「ドローン測量の民主化」を掲げて2016年末にスカイマティクスを設立し、翌2017年には最初の製品となるくみきのベータ版を発表した。
「反響は大きく、地形データを生成するだけの仕組みから、測量結果を現場で活用できるようにするGISや解析まで機能を拡張した。開発はユーザーからのフィードバックを基に急ピッチで進め、2023年には満足できる水準に達した。同年11月には国土交通省のNETIS認定も取得した」と経緯を説明する。
くみきに搭載されている機能は多岐にわたる。「地形データ生成」「計測/解析」「GIS」「現場管理」「Lidar/パノラマ/360度カメラ管理」「レポート出力」「データ出力」「他社連携」など、国内の建設現場で必要とされる機能を幅広く実装している。

※ドローンで測量した3D地形データを「くみき」で解析する画面
AI自動化で高品質な地形データを実現
ドローン測量の民主化に向け、スカイマティクスがこだわったのがUI(ユーザーインタフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)の改善だ。その1つが「計測/解析」機能。オルソ画像で距離や面積を計測する「簡易計測」や、点群データで体積や角度や断面などを計測する「点群計測」など、従来は専門知識が必要とされた作業を誰でも簡単に扱えるようにした。その操作は、画面上に表示される各機能に対応したアイコンを選択した後、計測対象をクリックするだけという簡易さだ。
渡邉氏は「ドローン測量で得られる地形データを実業務にどう生かせるかまで理解している企業は、現状でも少数派だ。そこで当社は、活用方法そのものを機能として組み込むことで、ユーザーが『ドローン測量で何ができるか』の気付きを促し、即座に活用に乗り出せるように機能強化を進めてきた」と語る。

オルソ画像への描画機能、作業指示をPC、
スマホからでも行える
地形データには当然ながら高品質が求められるが、くみきは国土交通省の公共測量基準を満たす精度を実現している。その品質を標準化しているのが、AIのアルゴリズムによる画像処理の自動化だ。
一般的なドローン測量では、飛行計画の段階で飛行範囲やカメラ設定、撮影間隔など複数の設定が必要となり、さらに撮影後のデータ処理でも解析条件を人手で調整しなければならない。しかし「人手任せの設定では担当者のスキル差により、生成される地形データの品質にばらつきが生じることが避けられない」(渡邉氏)。
対してくみきでは、クラウドにアップロードした画像データを基にAIが処理条件を自動で最適化するため、ユーザーは処理メニューを選ぶだけで済み、短時間で結果を得られる。AIの自動化を可能にしたのが、くみきのリリース以来、クラウド上に蓄積してきた膨大なドローン画像だ。
渡邉氏は「アルゴリズムの改良は学習データが多いほどトライアンドエラーを繰り返せる点で有利。当社には日本国土の50倍以上に相当する面積の画像データの蓄積があり、くみきでは専門チームによる継続学習を通じて、オルソ画像化で生じやすいゆがみやズレを大幅に低減している」と語った。
くみきを柱にドローン測量を多面的に支援
くみきはクラウド型のため、高性能PCは不要で、複数の計算を並行処理することで従来に比べ大幅な高速化も実現している。
手厚いサポート体制も整えている。導入後3カ月間は、ドローン測量で何を実現したいのかという企業の狙いを踏まえて専門のサポートチームが伴走し、ユーザーを徹底的に支援する。また、利用中の疑問や課題に一元的に対応する窓口「プロフェッショナルサポート」も設置している。
「プロフェッショナルサポートではくみきに関するあらゆる問い合わせに応じる。企業内のサポート業務を省くことができ、余力を付加価値の高い本業に振り向けられる」(渡邉氏)。
こうしたメリットの着実な認知拡大に加え、NETIS認定も追い風となり、くみきの引き合いは2023年ごろから急増。累計導入数は5万現場を突破した。
建設業のユーザーからは「測量の外注コストを約8割削減できた」「測量から活用までのリードタイムも9割以上短縮した」といった具体的な効果も報告されている。
さらに、事務職として建設会社に勤務していた女性からは「くみき担当を任され、建設現場の作業に直接的に貢献できるようになり、やりがいが高まった」といった喜びの声も寄せられたという。
ドローン測量だけでなく、ICT土工を網羅した学習システムも提供

くみきシリーズ
一方で、ドローン測量に関心を持つ企業でも、利用頻度や人材体制など置かれた状況はさまざまだ。そこでスカイマティクスはくみきを中核に関連サービスを展開し、利用の裾野を広げている。
まず、ドローン測量の初心者やICT土工を本格的に進めたい企業を対象としているのが、オンライン講座「くみきトレ」だ。ドローン測量や点群処理について、くみきと無料の点群処理ソフト/3D設計データソフトを活用した実践的な学習を提供している。
高品質な地形データを生成し、3D設計データの作成などの活用に至るまでには、測量からドローン、写真計測、GIS、IT機器自体までの多様な関連知識や技能が不可欠となる。くみきトレは、オンライン動画による学習と実際のソフト操作を通じて、土木分野のドローン測量だけでなく、ICT土工に精通したプロフェッショナルを育てる。
「座学だけでなく、各工程で必要な技術を操作しながら学べるため、実践的なスキルを確実に修得できる。導入編と応用編を受講すれば、CPDSも最大11ユニット取得できる」(渡邉氏)。
自社運用とアウトソーシングの適切なバランスも
ドローン測量の普及には、運用面での課題がいくつか残されている。自社の方針を定めても、現場が増えれば機体や人材が不足し、自社だけのリソースでは賄えない。逆に完全アウトソースした場合、知識やノウハウが社内に蓄積されず、将来の事業継続でリスクになりかねない。
スカイマティクスでは、測量頻度が少ない企業などを対象としたドローン測量のBPOサービス「くみき GO」も展開する。目的に合わせた最適な撮影計画の策定から、プロパイロットの全国ネットワークを活用した撮影派遣、高品質な撮影データのくみき上への納品、さらに解析作業まで対応する。年に1回から利用可能で、ドローン測量のトライアルにも適している。
渡邉氏は「くみきはワンストップで多様な機能を提供し、クラウド利用により初期投資や運用コストを大幅に抑えられる料金体系が支持を集めている。一定の利用額を超えるプランではドローン本体も無償提供している。ただし、運用の課題は機能だけでは解決できない」と現状の動向について解説する。
くみきや関連サービスも併用しながら、自社運用とアウトソースの適切なバランスを探る動きは広がりつつあり、鹿島建設ではくみきによる自社運用とアウトソーシングが併用されている。
また、地形データは建設工程にとどまらず、地域や施設の基盤情報として極めて重要で、その厳格な管理が求められる。国内サーバ上でデータを管理するくみきは、海外製ソフトや海外クラウドと比較してより高い信頼性と安心感をもたらす。
スカイマティクスは今後、福井コンピュータの3D点群処理システム「TREND-POINT」をはじめ、国内主要ソフトウェアとの連携をさらに強化し、設計や施工管理の現場で3Dデータをシームレスに活用できる環境を整える。また、測量や点群のビギナーでも1人で業務がこなせるように、誰もが直感的に操作できるUI/UXの改善も継続して追求していく。
さらに、地形データを測量の記録にとどめるのではなく、工事判断などの意思決定にも役立てられるデータ解析やレポート出力の機能も拡充する予定だ。
転載元:BUILT
BUILT 2025年9月19日掲載記事より転載
本記事はBUILTより許諾を得て掲載しています
記事URL:https://techfactory.itmedia.co.jp/tf/articles/2509/16/news006.html
ドローン測量サービス「くみき」について
「くみき」は、専門知識なしで地形データを簡単に生成できるサービスです。
ドローン画像をアップロードするだけでオルソ画像や3D点群といった地形データを自動で生成でき、数クリックだけの直感操作で面積・体積・断面等の本格ドローン測量ができます。また、国産ツールで専任のサポートチームがあり、迅速かつ丁寧にお客様のお困りごとを解決します。
2017年12月に汎用ドローンに対応した国産初のクラウド型ドローン測量サービスとしてリリースされて以来、「くみき」はこれまでに建設・砕石・産廃・農業業界など人手不足や技能・知見の伝承に課題を抱える業界、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に取り組む企業様、官公庁・自治体様まで業種や企業規模を問わず幅広い企業・団体様に導入されてきました。
